校長挨拶

豊かな自然に支えられて

 私が教育に携わっているその原点を探ると、幼い頃から毎年参加してきたキャンプにたどり着きます。湖のほとりにある自然に囲まれたそのキャンプ場で、どれだけたくさんの歌を歌い、どれだけたくさんの笑い声を青空に放り投げたことでしょう。そこにあったのは、言葉の本質的な意味での「楽しさ」です。「楽しさ」は、時に「挑戦」という衣装をまとって、「克服」という道筋を示しているものでもありました。夏の日差しを受けて、汗を流しながら、友と登った山々で目にした絶景や、意を決し底の見えない湖に飛び込んだ時の、輝く水しぶきのきらめきが、今の私の細胞のどこかに潜んでいます。
 横須賀学院小学校もまた、恵まれた自然豊かな環境のもとにあります。その環境のもとで、本校の礎としているキリスト教の教え、「敬神愛人」という建学の精神が、毎日の礼拝の中、子どもたちに培われていきます。
 子どもたちはその豊かさの中で、のびのびと「問い」かけます。答えを求めるのではなく、「問い」そのものに意味があるかのように「どうして?」「なぜ?」と問いながら、世界との接点を手探りで確かめているかのようです。そして、多種多様なそれぞれの存在を認め合いながら、自律的にその「問い」を「想い」として発信し、ここから始めて世界へつながる学びの土台を作っています。
 例えば、台湾の大村小學との姉妹校提携、ニュージーランドホームステイプログラムが、このコロナ禍にあっても頓挫することなく日々の中で息づいているのは、「国際交流」が特別なイベントではなく、その「交流」こそが、本校の教育の本質だからです。
 外廊下の本校には陽光があふれています。子どもたちは常に青空を仰ぎ見て過ごしています。彼らは、曇天であっても、その雲の向こうに蒼穹を思い描き、それを瞳に映すことが出来ます。教室の中にいながら、青空を介して世界とつながっている。私たちは、そんな学舎を目指しています。

横須賀学院小学校 校長 小出啓介

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